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医師を目指す方へのメッセージ

館林厚生病院

館林厚生病院

 若い医学生の皆さん、高校生の皆さん、群馬県・群馬大学が主催する地域医療体験セミナーに参加していただき、ありがとうございます。また、館林厚生病院の実習・見学に参加していただいた皆さん、病院を代表してお礼申し上げます。
 さて、「地域医療」の本質とは何でしょうか?私自身は、地域医療とは、地域に住んでいる人々のいのちを支える「安全保障」と、地域に住んでいる人が仕事、学業そして日々の日常生活をいつも通りに快適に過ごすことができるための「インフラストラクチャー」を提供することの2つであると思っています。
 安全保障という点からすると、警察や消防と同じような役割でしょう。国のレベルでいえば国防に相当すると言えるかもしれません。病院が提供できる安全保障の典型は、「救急医療」です。当院は、年間3500台近い救急車を受け入れています。それ以外に、意外にも自家用車で来院される重症患者さんも少なくありません。当院は2次救急病院ですので解離性動脈瘤などの高度な手術を行うことはできませんが、近隣の3次救急病院とのネットワークを通じて円滑に患者さんに治療を提供できています。
 健康状態の非常事態である救急疾患でなくても、高血圧、糖尿病、気管支喘息、アレルギー体質など、日常生活を快適に過ごし、将来の大きな疾病に結びつかないように予防するための治療も病院の大きな役割です。人間ドックなどの予防医学もこれに含まれるでしょう。地域医療の本質の第2は、これらの医療を提供することです。社会に例えれば、電気、ガス、上下水道などのインフラストラクチャーに相当するのではないかと思います。あるのが当たり前で、普段は特に意識することがないものですが、いざ、それらが機能しなくなった時には重要性に気付くものです。病院の日常の外来診療はこれに相当すると思います。
 私は内科医ですが、外来で一人の患者さんを10年以上にわたって診ていると、その人の健康状態だけでなく、その人の人生を垣間見ることがあります。糖尿病にもかかわらず、なぜ食事療法が出来ないのか?その人の生活を知ると、その人なりの守れない合理的な理由について気付かされることがあります。医師対患者関係ではなく、ひとりの人と人との信頼関係の中で医療を行うことの重要性を認識することがしばしばです。「地域医療」のおもしろさは、このようなところにもあると思っています。
 皆さんが、単なる職業としての医師になるだけでなく、自分に与えられた役割、医師としての真のやりがいに気付いてくれると嬉しく思います。当院では、積極的に皆さんをサポートしたいと思っています。

院長: 新井 昌史

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