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医師を目指す方へのメッセージ

高崎総合医療センター

病院正面 高崎総合追加医学部医学科を目指す高校生の職場体験セミナー

地域社会における医学・医療の必要性

 平成26年度も多くの医師を志す高校生の方々のご参加により、職場体験セミナーが開催されました。我々高崎総合医療センター職員も高校生の皆様方と共にとても有意義な時間を過ごすことができ、大変感謝している次第にございます。
 ところで職場体験セミナーに参加された皆様以外にも、どうして医学を基礎とした医療が人間社会、そして地域社会には必要なのかを考えたことはあるでしょうか。現代日本では当たり前のように、具合が悪くなったり、怪我をしたりすれば行くのが診療所や病院などの医療機関です。医療機関に行けばチクッと、 採血や注射のために針を刺されたり、 苦いお薬を出されたりと嫌なことばかりです。 それは分かつているけど、 出来る事なら行きたくはないけれど、 現代日本人は、 必要とするその時に医療機関を受診します。 病気や怪我を治療したり、 病気かどうか検査をしたりするために医療機関を受診するのは当たり前と認識される程に、日本では医学・医療は社会に根を降ろしていますが、 医学・医療の必要性はそれだけでしょうか。 概ね全世界の地域共同体(国家や地域)の政治的事業として社会保障の整備がございます。 医療、 介護、 福祉、 年金、雇用などを包括する社会保障とは、 幼い子供やお年寄り、 障害をお持ちの方、 就労できない方、そして病気や怪我をされた方々を救済するための経済上のシステムであり、 これらの事業を可能にする法律群のことです。 そして日本国の社会保障は世界の国々と比べてどの程度なのか御存知でしょうか。いくつかの尺度を使い定数化した場合、 全世界で最も優秀な社会保障を実現しているのは日本である、 と評されています。 このことは日本ほど誰でも公正に、 病気や生活状態に合わせ迅速かつ的確に医療や介護、福祉サービスや生活保護を受けられる地域はない、とうことになります。 このことが人の幸せに直接繋がるか否かは様々と思われますが、人が生きていく上で不幸や不条理を感じることを減らすことが出来ます。 そして疾病に罹息し ていようと、健康であろうと、生活を続けていく人の「安心」に繋がるものと思われます。現代日本は戦争や紛争はないとはいえ、 超高齢化や少子化、 災害復興、 大量の赤字経済等多くの不安を背負い人々は生活しています。 そのような国情にあっても、 人々は逞しく明日への希望を胸に秘め生きていくものであり、それこそが人が人である根拠と言えるでしょう。人が永きに渡り生きていく上での希望を照らす光の一つとして社会保障は存在するものであり社会的役割は重大です。疾病や怪我を治す以外にも、その存在を以て人々の生活に安寧をもたらす。医療が必要とされるもう一つの大きな理由だと考えています。

臨床研究責任者: 佐藤正通

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