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医学生へのメッセージ

公立富岡総合病院

公立富岡総合病院(H24)医学生のための地域医療体験セミナー in 富岡
この体験セミナーも今回が5回目となった。もともとは医療の最前線を肌身で感じてもらうことを目的としているが、同時に自分たちが将来研修したり勤務するかもしれない病院の下見も兼ねる。富岡市は前橋から1時間足らずの場所にあるがそれでも辺鄙(へんぴ)だという人がいる。群馬県の人口は今後県央部が増加し辺縁が減少すると予想されている。背景人口の多くない地方病院はどこも医師確保や収益確保で苦労しており、これは全国的な現象でもある。幸い当院は病床あたり医師数は県内トップクラスで収益も安定している。これから医師になろうとする人たちにそういった状況にある病院で外来や病棟を研修医と一緒に回ったり、当直を体験したり、また研修医の勉強会に出てもらったりした。当院の研修医には総合的な診療能力を身につけたもらいたいと様々な工夫をしていて、「適度に忙しい病院」と評価されている。現場の雰囲気を少しでも理解していただけたろうか。それぞれの地域ごとにいろいろ事情がある。当地域は高齢化にともない診療内容にも変化が起こっている。行け行けどんどんという医療ではなく、患者や患者家族と相談しながら個人個人に最もふさわしい医療を目指した診療を行っている。卒業後の研修先としてぜひ候補に入れていただければと思う。

副病院長: 嶋田 均

医学生のための地域医療体験セミナー 数日型
地域医療推進研究部門の鎌田先生、羽鳥先生が中心になって学生の皆様を対象として、このようなセミナーを開催継続してくださっていることに対して、地域医療を行っている者として感謝申し上げます。さて学生の皆様は Japan Syndrome という言葉をご存知でしょうか?これは世界に例を見ない超高齢化社会を迎えた日本の諸現象を表しており、日本が今後どのように対応して行くかに、世界が注目しているのです。日本は人口減少社会に突入し、65歳以上が3000万人を超えました。高齢化率は24.1%、実に4人に1人が65歳以上の社会となった訳です。しかしこの傾向は地域によって更に大きな差が見られます。公立富岡総合病院の医療圏は富岡市、甘楽町、下仁田町、南牧村とその周辺地域が含まれますが、その高齢化率は29.1%です。最近1年間でみると出生429名に対して死亡は1063人でした。IT社会で情報が飛び交い、マスコミでも健康や病気というkeyword で番組を作ると視聴率が上昇するので、更にもっともらしい情報が飛び交っています。しかしそれらはやはりマスコミ番組であり、視点が断片的でいわば素人受けを狙っているわけで、あまり正確ではありません。
私たちはやはり医療のプロとして、現代の人間の社会において、医療とは何か?何をするべきか?という視点から外れてはならないと感じます。安全や安心をお金で得る、長生きしたいという欲望をお金に変える、という側面があることを否定は出来ないのですが、それをあまりにも肯定すると、人の弱みに付け込んで経済活動をすることに医療が巻き込まれかねない、という現実があります。この力は強大で、手を変え品を変え、善人の顔、天使の姿をして皆さんの前に出現するかもしれません。それを見抜く力をしっかり見につけて、本来の医療の目指すべき道を追求していただきたいと熱望いたします。医療においても 知識<技術<感性<哲学 という視点を持って共に人間社会に貢献したいものです。未来を担う学生の方々のセミナー参加を心から応援いたします。

病院長: 佐藤尚文

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