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医師を目指す方へのメッセージ

高崎総合医療センター

高崎総合医療センター

高校生のための医師職場体験セミナー

『高校生医療体験セミナーに託すもの』
 平成24年8月20日、高崎地域を中心に医師を目指す高校生の方々を当院にお招きして、第4回となります「高校生のための医療職場体験セミナー」を開催させて頂きました。例年のことではございますが、今年も地域で次世代医療を担う多くの高校生諸君にご参加頂きまして病院を以て大変光栄に思っております。当院におけるセミナーでは、薬剤部門、放射線検査部門、検体検査部門そして診療部門の見学や実際に基礎的診療を体験する実習、研修医との懇談会などによるプログラム構成となっており、参加者自身を含めた、人々の身近にある医療を、そして地域に求められる診療機能を実体験できるように計らっております。また研修医との懇談会では、医師として最も高校生に年齢の近い年代の方々の体験談や医師を目指す上での夢や志、医師になってからの近況報告なども、参加者全員で共感していくことを目的に自由に発言してもらい、受験勉強をどのようにして乗り切ったのか、学生時代の苦労話から、華々しい体験まで、高校生からの質問に答える形で進めていきます。セミナー終了後のアンケートでは毎年建設的なご意見を頂き、今後セミナーを運営していく上での指針とさせて頂いております。
 現在の高校生が医師として第一線で働く20年から30年後の未来、この国は、そしてこの地域はどうなっているのでしょうか、そんなことをしばしば思い描いています。また医療体制や医学の進歩など、緩やかではあっても右肩上がりで経過していくことを強く望んでおりますが、高齢者割合の近未来における急激な増加、少子化による生産層年代の減少は、医療をはじめとする社会保障に大きく影響を与え、これからの30年の経過を不透明にしていることも現在に在る切実な現実として捉えております。既にいくつもの施政、施策が国、自治体、各関連団体において実行に移されており、これら施策に基づいた適切かつ効率性の高い医療が、身近に皆さんの周りにある現場で試みられ、既にいくつもの有効な実績を上げております。このような現代の医療現場に永く身を置いておりますと、価値観の変遷は、認識の強弱を超えて潜在し現代に棲む我々に迫ってきます。加えて医師として、もしくは医療機関としての在り方の多様性や社会的許容幅も緩やかではありますが、拡張する方向性を有し、うっかりすると医師としての自分の座標や、創造されるビジョンへのベルトルさえも見失いがちになります。つまり現代人は普遍性に熱烈な羨望を送りつつも、常に変わり続けることを宿命付けられており、社会での自己の表現や立ち振る舞いにおいて、いくつもの選択の余地が加わっているため、物質的に豊かな時代となっても非常にストレスフルな精神的生活環境が現出しているように思えるのです。この様な時代に生きる若者、そしてその若者によって構成され、創造される社会とは如何なるものか。旧来のイデオロギーによってその価値を構成している私達にとっては想像困難な部分がありますが、人が人である以上、世俗的な社会形態や時代的なイデオロギーの変遷に囚われず、そして文明としての知識、技術の蓄積がその度合いを高めようとも、医学研究・教育や医療現場を貫徹する理念や社会的存在根拠は時代を超えて保存されるべきであり、これこそが先代の人から後代の人へ伝えていくメッセージ、人間種の普遍性への憧れである、と思う次第であります。どうすれば伝わるのでしょうか?言語としての表現以外にも、人という生物として感じ取ることが必要とされ、これを体現し得るのは「共に生きる」といったことに他ならないように感じております。未来における時代の先駆者と共に生きる。その時がくることを楽しみにしております。

総合診療科部長: 佐藤正通

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