前橋協立病院
医療現場体験セミナーにおける前橋協立病院での実習に参加していただきありがとうございました。時間は限られていましたが医療現場の雰囲気を肌で感じてもらえたことと思います。
病院では兎角医師の仕事がクローズアップされがちですが、実際はたくさんの職種が連携して患者さんの診断・治療にあたっています。病院体験でもそのことが十分に分かってもらえたと思います。
医療というと新たな医療技術発展・進歩に目が向きがちですが、システムとして如何に医療の安全性を高めるか、如何に人権や健康権を守るかなどの取り組みが大切になっています。「小医は病を医し、中医は人を医し、大医は病を医す」という言葉があります。患者さんは病気があるために病院を受診するわけですが、患者さんを全人的に捉える必要がありますし、また人は社会の中で生きており社会が人に大きく影響を及ぼします。医師をはじめ医療に携わる職種に就くことを希望されるなら、高校・大学での勉強のみでなく何事にも興味を持って幅広い教養・知識を身に着け、見識を深めてください。
勉強に疲れたら病院へ気軽に訪れてください。また疑問や心配事などあれば相談に乗りたいと思います。
体験実習の終わりに、私たちは懇談の場を用意し、学生たちと対話している。毎回感じることだが、彼らはみな明確な目標を持ち、学習意欲も高い。医師になるためにどのような勉強をしたのか、といった質問から、医師になってよかったと感じたこと、逆につらかったことは何か、といった質問を受けることも多い。私自身の経験を伝える時、彼らは真剣に話に聞き入っている。いずれ共に医療を担う仲間になると思うと、頼もしく感じる。
私たちは常に、一人の患者、あるいは地域に対し、私たち自身が担うべき役割のことを考えている。「あなた」は何に困っているのか、何を望んでいるのか、何を大切にしているのか。医療者の誰もがそのことを真剣に考え、行動している。そのことを、学生に最も感じてもらいたい。私たちは、学生を何度でも受け入れる。その都度、見てもらうものは変わる。より多く医療の世界と出会うため、何度でも病院へ来て経験を積むとともに、ぜひ勉学に励み、一緒に充実した医療を築いてほしい。
医療現場体験セミナーに参加なされる生徒の皆様の中では、「誰かの役に立つ仕事がしたい」と思って臨む方が多いかと思います。医療の仕事に携わる私たちは、その思いを大事にし、患者さんとお付き合いをさせていただいています。
「病気の患者さんだけを知り援助する」のではなく、その方が生まれ育った環境、仕事や家庭での役割など、その方が置かれている状況や背景から私たちはたくさんの事を学ばせていただいています。
「医療の仕事」は患者さんに寄り添うことで「皆さん自身」が人間として成長していける素晴らしい職業です。一日という短い時間ですが、医療に携わるやりがいや喜びなどを感じていただければと思います。