公立富岡総合病院
高校生のための医師職場体験セミナーの開催について、地域医療推進研究部の鎌田英男先生はじめスタッフの方々の御努力に感謝申し上げます。高校生の皆様にとっても、私共地域医療を提供する側にとっても大変有意義な企画と感じています。
日本はかつて誰も経験したことのない超高齢化社会に突入しております。平均寿命を見ても50歳を超えたのは戦後のこと、そして現在女性86歳、男性も80歳を超えんとしております。
このことに医学が深く貢献したことは紛れもない事実です。一方、寿命が延びたことで新たな個々の問題、社会問題も浮上してきました。長生きをすることで、老後を楽しんだり、若い世代に経験を伝えたりすることができます。一方で介護を必要としたり、多くの医療を要することで、老いの苦しみが増加すること、若い世代の負担が増加していることもまた避けて通れない事実として存在します。そこに医療は深く関わっています。そしてそれは他人事ではなく、誰もが若い世代を過ごし、やがて老齢となって行きます。
高校生の皆さんは、将来医療を提供する側になっても、受ける側になっても、この社会において医療の意味を考え、将来の社会貢献の仕方を考えるチャンスになれば幸いです。どんな職業を選択するにしても、技術や知識の蓄積だけでは正しい方向に進めません。臓器の集合体として捕らえるだけでは不十分です。そこには人間とは何か？という命題が存在します。多くのことを学び、考え、“人間力”を蓄積して欲しいと念願いたします
