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医師を目指す方へのメッセージ

希望の家療育病院

希望の家療育病院

 皆さんはきっと様々な理由で医学を志したことと存じます。
 医療には重要な両輪が必要であると考えます。患者さんの病気を学問的にとらえ診断治療すること、さらにその知識と経験を活用して悩んだ患者さんの体だけでなく心も癒すこと、の両輪です。
 群馬県には重症心身障害児者施設の入所枠が約400床ありますが、ここで希望の家の紹介をしたいと思います。病院は140床で、病棟以外に重症心身障害児者デイケア、訪問看護ステーション、発達・相談支援センター、障害者デイケアがあり、同じ敷地に児童心理治療施設や特別養護老人ホーム等があります。創立者矢野亨先生の「障害児者への配慮」と「継続する理念」を感じ取れます。広い空間、清潔さ、職員の優しさと協力体制等です。地域を含めた障害児者に対する活動も活発に行われており、世界的バイオリン奏者の五嶋みどりさんが、後輩3人を伴って、希望の家で弦楽4重奏を演奏してくれたり、別の日には日本古来の雅楽の演奏も聴くことができました。耳が聞こえないと思われていた入所者も、そのとたんに顔がほころび、眼を輝かせているのがはっきりと解かり、感激の一瞬でした。病棟ではいつも声をあげるだけでしゃべれないと思っていた入所者が、優しい看護師さんの一言「○○さんコーラ買いに行く?」で、即座にしっかり「ハイ!!」と答えてくれて、びっくりしたりします。
 こんな経験もしました。仙台で開かれた第43回日本重症心身障害学会会場で、ストレッチャー型車椅子上の詩人大越桂さんが、歩けず自分では発声できないのですが、お母さんの手に書いた指文字を通した同時通訳で、「人生は楽しい、味わい尽くそう!」と教えてくれました。「会場全体が暖かい海の底のように感じます。皆がよく聴いてくれていることがよくわかります。」と参加者とコミュニケーションをとり、本当に真の偉大な詩人でした。
 障害のある方に接する機会がない方は思いもよらないでしょうが、実に多彩な感受性を秘めていることをいつも教えられ、驚きと喜びに出会えます。実に「人生は楽しい、味わい尽くしたく」なります。若い方々、ぜひ医学医療の世界に参加してください。多くの喜びが待ち受けています。皆さんにお会いできるのを楽しみに待っています。

院長: 竹内 東光

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