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其の二 群馬でサブスぺを極めるには!?

日時: 平成29年12月6日(水)
場所: 群馬大学医学部附属病院内 
群馬県地域医療支援センター
特別ゲスト: 群馬大学医学部附属病院救命・総合医療センター
大嶋清宏教授
参加者: 群馬大学医学部附属病院研修医(2年目) 福島先生
群馬大学医学部医学科5年生 堀込君
群馬大学医学部医学科4年生 荒牧君、梅山君、
山田君
群馬大学医学部医学科3年生 本田さん
群馬県地域医療支援センター専任医師 羽鳥、土岐
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センター医師

こんにちは。前回、第1回目の座談会が好評でしたので、2回目は、『外科、集中治療、救急科に興味がある医学生大集合!』ということで、特別ゲストに救急科の大嶋先生をお迎えし、サブスペシャルティ領域の極め方を話し合ってみたいと思います。皆さんも、特に群馬県内でずっと過ごしていると、県外での研修や海外留学を夢見ることがあると思います。ぐんまの地域医療の中で、どのように救急科を立ち上げたのかを伺いながら、地域枠学生のキャリアアップについて考えてみたいと思います。

大嶋教授

皆さんは将来、どのような診療科に興味がありますか。

在校生

外科です、腫瘍内科です、整形外科か救急を考えています、未定です、外科か救急です・・・

センター医師

腫瘍内科を考えているA君は、県内にはない診療科なので、地域枠学生としてのキャリア形成を悩んでいます。大嶋先生、先生は救急科を立ち上げるに当たり、どのような道を進まれてきたのでしょうか。

大嶋教授

僕は伊勢崎出身で、群馬大学を卒業後、外科医として11年過ごしました。心臓血管外科が専門だったのですが、その中で、大学院として2年間、また、海外留学に2年行きました。大学院では結構成果が上がり、自信を持って海外留学に行ったのだけれど、留学生活は考えていたような甘いものじゃなかったんです。所属先の上司から、まず、それまでの自分の業績を目の前で検索されたこともあったな。家族とともに留学しましたが、無事に帰国できたことも一つの成果だったと思っています。帰国後、7年半ほど、集中治療に携わり、それをベースに救急の道へ進みました。

センター医師

外科医であったことは、大学院や留学でも活かされましたか?私も研究で手術をしていたのですが、小児科医なのでなかなかうまくいかずに苦労しました。

大嶋教授

そうですね。そこは外科なので。その当時の教授が移植外科を目指していたのですが、手術の基本手技は役立ったと思います。今になると、経験したことで無駄なものは一つもない、と言い切れます。
たとえば、患者さんから情報を得るときに、コミュニケーションって大事だよね。僕は、できるだけCT撮影や車椅子の移動など、自分から進んで患者さんと一緒にいようと思っていました。経験だけでは上級医にかなわないけれど、上級医が気づかないような大切な情報を患者さんと一緒にいることで得られることがあるなって。皆さんは、教授回診って無駄だと思う?いいよ、思うように言って。

在校生

(一同、お互いを見合わせて・・・)臨床実習では、積極的に教えてくれる科と比較的放っておかれてあまり何もない科があります・・・

大嶋教授

僕はね、最初のうちは、教授回診なんてつまらない、って思っていたんだけれど、いつからか、“させられる”受身の研修じゃ意味がないって思うようになったんだ。せっかくなら、教授回診の際のプレゼンテーションでそれまでに病気のことや手術の術式、いろいろ勉強しておいて、“前向きな”プレゼンテーションをしようと心がけるようにしていた。医療の中に、無駄なものなんて一つもないんだよ。
僕の卒業時には、救急科っていうものはなかったんだ。時代の流れで、今は重要な分野になってきているよね。皆さんも今後何かを目指すときに、若いうちは専門診療にこだわらずにオールマイティに診療するとよいのかもしれないね。独自のやり方にこだわらず、今ある道を利用してキャリアを伸ばしていくことも大事だと思う。

在校生

僕は、救急科を目指しています。外傷外科に興味があり、ドクターヘリで駆けつけて現場で開胸もできるような、外科ができる救急医にあこがれています。救急科を目指すには、外科からはじめる方がよいのか、救急科からスタートするのがよいのか迷っています。

大嶋教授

僕は、救急科からスタートすることをお勧めします。地域により救急のニーズが違うことが大きいと思います。外科では消化器、特に癌診療に重点をおいて診療することになるので、スキルを極めることが重要で、期間を要するんだ。地域の救急の半分は内科領域に関連することで、今でも勉強することが多いよ。総合診療、緩和ケアなどの領域とも関連が深い部分があるね。

在校生

臨床研修病院を大学病院のような大きい病院でするか、地域の小さな病院でするか、迷っています。

大嶋教授

研修医のうちに重症例の経過を最初から最後まで通して経験しておくことが大切だと思う。そうすることで、どこでも、あきらめずに最後までやり通すことを知ることができると思うよ。また、common diseaseを経験することは焦らなくていいよ。いつでも身近に経験できる症例は、その都度勉強できる。小さい病院はat homeなところが魅力だよね。大きな病院では、自分のモデルになるような良い医師がいっぱいいる可能性がある。研修病院で自分の理想の医師に出会えればそれはとてもラッキーです。もし、理想の医師がいなければ、それぞれの医師のいいところをより集めて、自分の理想の医師を作り上げることもできるんじゃないかな。

センター医師

最後に、救急科の勤務は激務だと思いますが、普段、心がけていることはありますか?

大嶋教授

今、“育メン”が話題になっているよね。働きやすい環境って重要だと思います。救急科にも育児休暇を取得したあとに復帰し、日中活躍してくれている女性医師がいます。同じ女性医師が毎日日中てきぱきと診療してくれているととても安心感があります。特に若い女性医師が活躍できることを期待しています。皆さんも、地域医療のモデルケースになってください。そうして、後輩達に皆さんのキャリアパターンを示してあげてください!


救命・総合医療センター長として、地域医療の最先端で活躍されている大嶋教授から、地域枠学生に対して熱い言葉をいただけました。群馬県地域医療支援センター副センター長でもある大嶋教授の地域医療への熱い思いも感じられた座談会となりました。

第2回座談会をまとめているうちに、次回、是非座談会に参加したいという遠くからの熱い声が聞こえてきています。年明けの第3回座談会を予感しながら・・・平成29年師走。

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