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医師を目指す方へのメッセージ

西吾妻福祉病院

西吾妻福祉病院

 西吾妻地域は、高齢化、人口減少が進んでいる地域です。医療や介護の施設や人材が少ないわりに、カバーする面積が広く非効率であるというデメリットがあります。病院、診療所、介護施設、行政、住民が連携し、それを克服しています。病院内でも患者さんを中心として、スタッフの連携と一人ひとり能力の幅広さが肝心です。当院に実習に来て、そういうところを感じて、将来こういう場所で働いてみたいなと思ってもらえる様に、セミナーに参加しています。
 日本全国でこういう地域がたくさんあります。そのような地域では、高齢者が増加し、そこから死亡数が増え人口減少がさらに加速する時代へ向かっています。地域包括ケアを実践することが地域の医療機関にとって大切な役割の一つです。
 地域包括ケアがわかりやすいように、一つ看取りの例を書きます。先日、自然に枯れるようにそして安らかに亡くなられた方がいました。その方から、吾妻で下仁田ねぎ作りを始めて、苦労を重ねて本家の下仁田にも負けないねぎを育てることが出来たことなどいろいろな話を伺いました。そして、「十分すぎるほど年は取ったし、体もずっと衰えてきた。もういつでも迎えが来てもいいから、その時は、なるべく苦しくないよう頼むよ。」と涙を流しながら手を握り、最後の願いを託されていました。だんだん食事が食べられなくなって、ベッドから起き上がれなくなってきたところで、奥さんや息子さんと話し合いました。
 食事が食べられないなら点滴や経管栄養、痰が絡んだら誤嚥性肺炎かもしれないからレントゲンを撮って、痰の培養検査をして、抗生物質の点滴をして・・・という通常の治療をするか、ご本人の願いに沿って点滴をしない、採血もしないで自然にみとるか。
 まず患者さん本人との信頼関係がなければなりません。傾聴により、その人の歴史や、家族への思いや、自分の最期についての希望など、何回か時間をかけて話を聞いていきます。介護サービスとの連携で、介護用ベッドを借りたり、訪問看護や訪問リハビリを導入したり、介護する人にも十分配慮し不安が少なくなるようにしたりしました。
 本人の願いの通りに最期を迎えるという当たり前の権利を当たりまえに行使できるようにする方法を医学部では、教えてくれません。
 西吾妻福祉病院で、「どんな職種があって、どういう役割をしているのかを知り、スタッフ間の良好なコミュニケーションをとり円滑にことを進めるために、お互いの仕事の内容について理解し尊重すること。」を体験してみませんか。

管理者兼病院長: 三ツ木 禎尚

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