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医師を目指す方へのメッセージ

希望の家療育病院

希望の家療育病院

 平成28年9月9日、今年も群大医学部女子学生2名が来院した。重症心身障害児者施設見学の目的で、当日午後3時から約90分間見学した。2名とも医学部入学6か月で医学教育は未だほとんど受けていない状態、それだけに重症心身障害児(者)を目の当たりにして驚いたことと思われる。しかし医師の仕事は障害のない正常児(者)の病気を治して帰すという日常的な仕事の他に、重い疾患で生死をさまよう患者の治療があり、更に寝返りもできず、呼吸や食事も介護職員の手や器具を必要とし、重い知的障害で言語もわからず、両親の識別もできない状態で何年間も施設に入所している方々もおられる。このような患者さんに触れ、驚きと感動を受けた体験は医学生として不可欠なものであったと思います。
 医学は命に対する評価であることは医師を志す者は教育の初期の段階から知らされるべきである。教育をする側もこの点を今回の見学においてしっかりと自覚すべきであるが、その役の一端を担った自分としてはこの点如何であったかを反省するとき、この精神が学生にどの程度伝わったかは甚だ心もとない。
 いずれの命においても、その重さはおなじであっても、その能力においては質、量ともに千差万別で、そのどれを誰に与えるかは人力でいかんともし難いものがあり、神の領域が関わると言わざるを得ない。私自身、与えられた能力について量や質において嘆いたり、恨んだりしたくなることもある。しかし努力を続けながらも、与えられた能力を受け入れ、自分がそれを精一杯活用しながら生きることができる現在の環境を思い描くとき、このような環境にあることに感謝しており、同時に更なる充実した人生を送りたいと思っている。

院長: 町田 裕一

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